パロール・ドネ (講談社選書メチエ)レヴィ=ストロース・C ¥ 2,100 在庫あり。 |
パロール・ドネ (講談社選... | |
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黒衣の女王 グイン・サーガ126 (ハヤカワ文庫JA)栗本薫 ¥ 609 在庫あり。 ★★★★ |
黒衣の女王 グイン・サーガ... | |
| 『黒衣の女王 グイン・サーガ126』です。 グインサーガ最終巻です。作者生前に刊行された巻としては、ですが。 この巻の舞台はパロ。イシュトヴァーンがクリスタルパレスに乗り込んで来て、リンダやヴァレリウスと駆け引きする、という内容です。 それ以上はネタバレになるので言いようも無いですし、これだけ言ってしまえば全てネタバレしてしまったと言っても過言ではないのですが。 過去の追憶とか、アル・ディーンの思惑とかといった要素もあるといえばあります。 細かい点で一つ気になったのが、イシュトが国を出発する時点でサイロンの黒死病は大変なことになっていたはずなのに、イシュトがパロに着いてから、ヴァレリウスがサイロンの情勢を初めて知った、ということになっています。魔道師情報網、伝達速度が遅すぎでは? この巻に関しては、ヒキは、ここ最近の巻と比べたらややおとなしめだったように思います。 その分次巻以降での中身に期待したいです。絶筆となるまで、どこまで話が進んでいたのか、を。 生前刊行最終巻ではありますが、グインサーガシリーズはもうちょっとだけ続くのじゃ、ということで、評価の★3は、あくまでも第126巻... | ||
こころ (集英社文庫)夏目漱石 ¥ 320 在庫あり。 ★★★★★ |
こころ (集英社文庫) | |
| 『こころ』を読んだのは、中学生のとき以来だろうか。 そのときは、国語の授業の一環として語彙を暗記したり、 「ここで先生はなにを言いたかったのでしょうか」 といった類の意味(心理?)解釈を 定期テストの対策として勉強した覚えがある。 有名な作家で有名な作品。その他にはとりわけ印象には残らなかった。 日本の近代文学が何となく肌に合わなくて、食わず嫌いをしていたが、 今さらながら読んでみて、なぜ素通りしていたのだろうと思った。 同時に、中学生のときにわかるはずがないと思った。 いや、国語の学習教材としても使われて、 現時点で(恐らくこれからも)読んでもまた理解の仕方や感じ方が違う。 この作品が時代ごとに読みつがれている理由の一つだろうか。 今だと、漱石の上品な文体に感じ入るだけでなく、 ある程度理性的にも理解できる。 漱石は近代的な人間の内面を鋭く描写したという定式的な解釈がある。 それ自体は間違ったものではないとは思う。 だが、実際に読むと、漱石や先生はそういったところに入ったまま、 そういったところを突き抜けた地点で表現(解釈)するという ある種の矛盾を両立させているように見える。... | ||
ガン病棟のピーターラビット (ポプラ文庫)中島梓 ¥ 567 在庫あり。 ★★★★★ |
ガン病棟のピーターラビット... | |
| 「アマゾネスのように」は闘病記らしい作品でしたが、こちらは闘病期間中のエッセイ集と言った趣があります。 更に言えば、その文章には「死」を意識した冷徹さがあります。 乳がんか17年後に再発したすい臓がん、そして肝臓への転移が、この作品を書かせているのでしょう。 「宗哲さんのこと」と言うこの本の中では異質な章があります。禅僧宗哲との出会いと、その哲学に感銘した作者の心境が書かれています。それこそが、今作者の置かれた状況に一番マッチした感慨なのでしょう。そして、その心情が、溢れんばかりにこの本を満たしています。 作者のデビュー当時からのファンとしては、「何もせずにいれば、『あと半年、いやそこまでもたないかもしれない』」とか、「末期ガン患者」と言う言葉は、聞きたくなかった言葉です。 いつまでも元気で「グイン・サーガ」を完結させて欲しいし、「グイン後伝」も書いて欲しいと思います。 「ヤーンのみ手」にお任せするのではなく、もっと生きて私たちを楽しませて欲しいと思います。 「あとがき」の壮絶な文章に言葉を失いました。 作家、評論家の他に多岐にわたる楽器演奏、ライブ活動、脚本家と... | ||
坊っちゃん (ぶんか社文庫 な 5-1)夏目漱石 ¥ 490 在庫あり。 |
坊っちゃん (ぶんか社文庫... | |
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こころ (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 380 在庫あり。 ★★★★★ |
こころ (新潮文庫) | |
| 「こころ」を、読んだのは、漱石自身、人生で3度「神経衰弱」に陥った時期があり、この作品を書いた頃は、自分の内面に、その原因を求めて解決の困難性を認識していたころだと、知ったから。。 人は、病みながら生きることができるのであり、優れた病人は、優れた先生にもなるんだということを知った。 すごく勇気付けられたような。 でも、最後は衝撃的に悲しくて苦しかった。 明治時代の文豪・夏目漱石の、言わずと知れた代表作。 高校の国語の授業で第三章を学んだので、 はじめから大筋は知っていました。 人の欲望や葛藤を見事に描写しています。 読んでいて、まるで映画を観ているような錯覚を覚えます。 さすが、漱石です。 欲に目を駆られた人の醜さに辟易しつつも、 自分も欲にかられて同じ過ちを犯してしまう…。 いま読んでも決して古くさくはない。 僕も人生について考えさせられました。後期三部作の終わりをなす小説で 行人では発狂、ここでは自殺にいたるまでが描かれています 私も高校で習いました 全編通読が課題でしたのでそのときに読みました 最初のほうは謎が多かったです 私はてっきり「私」が女... | ||
それから (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 420 在庫あり。 ★★★★★ |
それから (新潮文庫) | |
| 明治42年朝日新聞連載の長編である。有閑階級のインテリ代助と友人平岡の妻三千代との恋愛関係の帰趨を、平成年金暮らしのシニアは切実なリアリティとして受け止めることができた。 倫理面で極めてストイックな物語の展開が先ず印象に残った。 この作品は、利害(打算)抜きの想念と憧憬だけの結婚観に支配されている主人公・代助の若さ(未経験)と観念で貫かれており、父が薦める地方の資産家佐川の娘との結婚を断り、実業家の父と兄それに嫂と勘当されてしまい、経済生活に支障をきたす事が暗示される形で終結する。構成と人物描写や対話の進行(スタイル)はブロンテ姉妹らの英文学作品との類似性を感じた。 現実生活を超越した主人公の破局的な生き様を、当時の読者はいかなる感慨を持って受け止めたのであろうか。それは 恋愛至上主義とは程遠い、多感な無職の有閑インテリのほろ苦い青春の挫折とでもいえようが、打算的な現代の若者には理解しがたいのではなかろうか。 西洋の貴族社会において 夫婦以外の愛人の存在がかなりおおっぴらに認められていることが知られているが、漱石の時代には西欧で王や王妃の人関係の存在が一般的であることまでは余り... | ||
吾輩は猫である (岩波文庫)夏目漱石 ¥ 588 在庫あり。 ★★★★★ |
吾輩は猫である (岩波文庫) | |
| ワガハイハ、ドブ猫である。 名前はもともとない。 今日も、私の主人は、パソコンに向かっている。 我が輩と同じく主人は、夜によく活動している。 全く、人間は気楽である。 時々部屋に散乱する物の中から、食べ物をいただく。 そして私はゴミ箱の中で一眠りする。 ゴミ箱の中は白いくしゃくしゃ、ふわっとした物であふれており体を滑り込ますとふわふわなのである。 ある日、主人が急に動かなくなった。 私はついに部屋の外にでたが、溝に落ちて目の前が真っ暗になった。 ・小泉八雲、高浜虚子が出てきます。 ・「送籍」なる男も会話に出てきます。 ・自殺志願をユーモラスに描いてます。 終盤では、漱石特有の問題(そう、あの個人の自我や我執の問題)が顕になり、やはり漱石の小説なんだなあと感じさせられます。 ・ベースボールを一種の砲術のように感じるといったところ、日本の近代化を日常的な面で感じるところです。 ・漱石の言葉遊びも実際に発見できました。 ・何年か前、批評家が言っていた漱石の凄い所、すなわち「芸術の消滅」を語っている部分、それも見つけました。みんなが自分のことしか考えないから、芸術や夫婦な... | ||
私の個人主義 (講談社学術文庫 271)夏目漱石 ¥ 693 在庫あり。 ★★★★★ |
私の個人主義 (講談社学術... | |
| 小説家としての漱石以上に、思想家としの漱石に魅力を感じている。 この『私の個人主義』から、漱石の考え方を直接、学ぶことができる貴重な1冊である。 2001年8月10日、NHKラジオ第1で放送された「21世紀に読む漱石」のゲスト・寺島実郎のイギリスから20世紀を持ち帰った男・漱石の話と、「私の個人主義」(1914年)の講演を声優・銀河万丈の声で聴いて内容にも魅了されました。 「道楽と職業」から、大好きな分野を個人的に学ぶ楽しさと、他人へのサービスとしての職業を考えることは、現代社会でも通じる内容です。 漱石の『私の個人主義』は、エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』(1941年)、オルテガの『大衆の反逆』(1929年)に匹敵するほどの内容の講演と思います。 時代を先取りした思想家・夏目漱石の言葉が、時代を超えて受け継がれることを祈ります。夏目漱石の講演録。小説はほぼ読んだはずだが抜け落ちていた。 感想は「見事」の一言、『草枕』の冒頭「智に働けば・・・情に棹させば・・・」を彷彿とさせる、神経質ながらも禅的、洒脱な話に聴き入ってしまった。「道楽と職業」にしても、学習院で行われた「... | ||
坊っちゃん (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 300 在庫あり。 ★★★★★ |
坊っちゃん (新潮文庫) | |
| 私には残念ながら坊っちゃんの良さは分からない。 分からないから3回読んだ。 読めば読むほど分からない。 唯の金持ちの坊主が父親にも愛想を尽かされ愛媛くんだりまで流されていき、やりたいわけでもない中学教師をし生徒に同僚に、上司に、家主に近所の住人に、交通の便に、食事の風習に朝から晩まで不満ばかり垂れる。 世間知らずの中途半端な金持ちの小僧が地方を卑下し都落ちして、都落ちした自分を差し置いて周囲を卑下する。田舎の世間の狭さを罵る。 何とも建設性もなければ清逸さもない。 ガキの戯言で終始する。 唯一の救いは元の使用人の老婆へ送る大いなる脚色を含んだ(故に愛情ある)手紙だけであろうか。 時代が違い不倫に対ての感覚は変わったかも知れない。 しかしいわゆる女性を買うという行為は人類史上最初の商売と云われる位で少なくとも男性の側でその手の店に出入りすることを不浄などと云うのは「頭の固い者」という相場であった筈である。 如何にその頭の固い者であっても、暴力に訴えかけ此を以て天誅と為すと云われても理解のしようがない。 いま、現実にこんな奴が面接に来たら絶対に採用したくない。 人としての魅力をど... | ||
こころ (まんがで読破)夏目漱石 バラエティアートワークス ¥ 580 在庫あり。 ★★★★ |
こころ (まんがで読破) | |
| このシリーズの特徴として原著を十分に理解していないこと、わかりやすそうな部分をつまみ食いしてツギハギ状に中身を構成すること、そして漫画自体の技術や表現が稚拙なことを指摘できるだろう。 まず、「先生」があまりに一方的で性根の卑しい男に描かれている点にそもそも大きな違和感を感じる。 そんな「先生」に「K」が愛した「お嬢さん」がホイホイとついて行くのだろうか。 「先生」の「K」に対する信頼や友情、人生に対する信頼とその反転、2つの自殺。 この物語を単なる三角関係の恋愛物語と捉えてはいけない。 「私」という登場人物をなぜ漱石は配置したのか、それらをよく考える必要がある。 人間には多面的な性質と情動があって、その本質からは「先生」や「K」の様な現代では比較にならないほどのエリート達も逃れられなかった。多くの内的矛盾と倫理観、価値観、時代の思潮が複雑に混じり合いながら進む物語を、単純で一面的な解釈や視点で捉えるのは大きな文化的損失と言えるのではないか。 「漫画」という着眼点は評価されるべきだが、漱石の精密な筆致を崩してまで読者に読ませるだけの「漫画」でなければ、そもそもこの企画自体が看板... | ||
アースダイバー中沢新一 ¥ 1,890 在庫あり。 ★★★★ |
アースダイバー | |
| 東京の地誌+民俗学+経済学などなど・・・ いろんな観点から東京を観ていて、おもしろい。 ドキドキしながら読みました。 途中、筆者の主観に走りすぎてる感があったり、 “週刊現代”に連載されていた記事をまとめられた本なので、 読者の好みそうな内容に傾いてる感もあり・・・。 鵜呑みにしなければ、楽しめる。 東京のフィールドワークがしたくなる本でした。 民俗学が好きな人も楽しめるかも。 東京の古層に眠る縄文の記憶。久しぶりに読み終えるのが 惜しい本と出会いました。 東京を支えるエネルギーを今でもこのように引き出せるの が驚きです。本書を読んで感じるところがある人とない人 の両極端が存在すると思いますが、私によっては素晴らしい 本でした。思想家と言う肩書きを持つ著者が 縄文時代の古地図と現在の地図を重ねた 独自の地図を元に東京を歩きその感想を書いたこの本。 色々な発見と共に、思想家という人は なんと創造力の豊かな人たちなのだろうと驚いた。 大地と平地が入り組んだ街、東京。 この本は 東京は徳川家康が入植する前はただの荒果てた土地だったと、 昔の日本史で習った事を 思い出させてくれた。... | ||
汚れつちまつた悲しみに…―中原中也詩集 (集英社文庫)中原中也 ¥ 380 在庫あり。 ★★★★★ |
汚れつちまつた悲しみに…―... | |
| 過去に何度か読んではいますが改めて。。。 やはり 「汚れつちまつた悲しみに……」は秀逸です。 表紙イラストは 「テガミバチ」の浅田弘幸集英社文庫の表紙リニューアルシリーズ。 絶妙な表紙です。読む気にさせますね。 ゆあーん ゆよーん ゆやゆよーん オモシロい。なんだそれ。 彼の感性が面白いです。鋭すぎる感性で自らの心を日常と風景に移し言葉を掴み取る。ひたすら自分であろうとし、自分を言葉で描く天才。鋭く、淡く、儚く激しく、それでいてどこか突き放して淡々とした感じ。本当に詩を書く為に生まれて生きた人だと思います。 30歳で夭折した詩人「中原中也」としてではなく、一詩人である「中原中也」の作品集 として読んでほしいと思います。 ついつい作者のプロフィールを気にして作品を読みがちですが、その辺のことはあえて 無視して、純粋に作品だけを読むと、その詩のよさがわかると思います。 私は「冬の長門峡」が好きです。 繊細、儚さ、大人になるにつれて忘れていく感情。 若くして生涯を終えた、中原中也の言葉は、今の時代でも色褪せません。 1つ1つの詩をゆっくり味わって読めば読むほど 深く... | ||
ヤーンの選択―グイン・サーガ〈125〉 (ハヤカワ文庫JA)栗本薫 ¥ 567 在庫あり。 ★★★★ |
ヤーンの選択―グイン・サー... | |
| 『ヤーンの選択―グイン・サーガ〈125〉』です。 運命神の選択、なわけですからどんな重大な選択があるのか、気になるタイトルです。 第一話から第三話までは、前巻の続きです。今更ながらにミロクの教えに疑問を持っちゃったヨナ博士と、先日グインと会ったばかりだけど初対面はこれからかもしれないスカールが、これまでの復習をしながら旅をします。 ネタバレになっちゃいますけど、まだヤガには到着しません。次巻以降のお楽しみということでお預けです。 第四話はイシュトヴァーンとカメロンの話。イシュトが血迷って飛び出します。 そして第四話の最後の最後で、「ヒキ」が用意されます。 長く続くシリーズものですから、ヒキの旨さはピカイチですね。 そのヒキのせいで第三話までの内容は忘れちゃってどうでも良くなっていますが、忘れてもどうでもいいです。 登場人物の心情を丁寧に表現するスタイルはきらいじゃありません。 賛否両論ありますが、水と油のような存在の二人が 互いを認め合う過程にはこれくらいのボリュームが必要だったのではないでしょうか。 ヨナとスカールのヤガ潜入計画+イシュトヴァーンのご乱行というか無茶な思い込... | ||
三四郎 (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 340 在庫あり。 ★★★★★ |
三四郎 (新潮文庫) | |
| 漱石の作品としては、重苦しくなく、わりあい素直に楽しめる作品。 内容は、実学でなく「思想」に生き、世の出世とかに淡白そうな広田先生に触れたり、解放的な女性に翻弄されたりする、都会(東京)に出てきたばかりの田舎者・三四郎の日々をつづった(だけの)ものであるが、このどきどき・うだうだ感がまさに青春だぁ!というわけで、個人的には、大学生(とくに地方出身の)にすすめたい青春小説No.1である。青春が遠のいたひとが再読しても、充分楽しめる。というか若いころに読んだときより、もっと楽しめるかも。三四郎といっしょにふらふらすれば、ちょっとした東京散歩もできるという趣向。 熊本から状況してきた東京大学に入学した小川三四郎。 図書館のくだりは、手にとるような描写がある。 1年生は書庫に入れないという仕組み、漱石の作品に、いまさら解説やあらすじは必要ないだろう。 もう一度読んでみたいかどうか? これを作品の面白さの基準とすれば、 迷わず、「一度ならず何度でも読みたい」そう答えることが できる作品である。 漱石の偉大さを感じる。学生時代に初めて読んでから30年ぶりに再読しました。この小説には受... | ||
枯木灘 (河出文庫 102A)中上健次 ¥ 599 在庫あり。 ★★★★★ |
枯木灘 (河出文庫 102... | |
| この作品の読後感は「カラマーゾフの兄弟」と同じ大きさであった。 「七人の侍」を観終わった後と同じ大きさ、とも言えるだろうか。 そういう比較がナンセンスなのはわかっているが、 この日本が誇るべき作家と作品を、声を大にして喧伝したい欲求にかられてしまう。 複雑で不可避な血縁にわざと背を向けるように、 主人公の秋幸は毎日太陽の光を受けてツルハシを振るうことに喜びを見出す。 単調な繰り返しが、秋幸にとっては心臓の鼓動のように、自分が生きている証となりうる。 だが、日々の単調さから来る充実も、あるきっかけで、 本来の秋幸の感情が、まるで昆虫が脱皮するように秋幸の表皮が破れて、 秋幸の真の性情が表出する。 個々ばらばらだった物や人が、一気に秋幸の肉体に向かって凝結し、 血や土地によって元から秋幸の肉体に刻印されていたかのように 人間の宿命が秋幸の姿かたちとなって浮き出される箇所は、 人間の存在意義や歴史や運命といった、人が背負って抗うことのできない業(ごう)が 秋幸という一個の人間を媒介として可視的な形となり、 作品から迸り出て読者であるこちら側に伝染し、 読者自身の心の葛藤となって心臓をつ... | ||
門 (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 380 在庫あり。 ★★★★ |
門 (新潮文庫) | |
| ちょっとした落ち着きを感じる、夫宗助と、その妻御米(およね)、夫婦はひっそりと暮らしていていたのですが、宗助の弟小六(ころく)の学費の事で問題が発生し、交渉を行わなければならなくなったのですが...というのが始まりです。穏やかそうにみえた暮らしを営む夫婦の今はどのようにして成り立ったのか?またある救いを求めさまよう宗助の心の置き所は見つかったのか?という作品です。 内容に言及しています! どんな時代であったとしても、不変的テーマの一つだと思いますし、安易な解決策が示されるわけでもなく、それでいて破滅的な局面があるわけでもなく、それでも読ませる作品でした。「こころ」も好きですが、今現在「門」を読み終わった後としては私は「門」が作品として、私の好みとして好きです。 宗助の性格の変化、諦観に至った状態、そしてある偶然からかき乱される心情、どれもとても理解できすし、妻御米をいたわる部分がリアルに感じられました。最初のエピソードでもある、ある漢字が気になって疑り始めると全く分からなくなってくる、という部分に宗助の傾向を納得させられてしまいました。やはり文章がとても上手い、奥... | ||
豹頭の仮面―グイン・サーガ(1) (ハヤカワ文庫JA)栗本薫 ¥ 609 在庫あり。 ★★★★ |
豹頭の仮面―グイン・サーガ... | |
| 友人に勧められてこのシリーズを読み始めたのは大学一年の時だから、ずいぶん昔のことだけれど、読み始めた時のあのワクワク感は今でも鮮明に覚えている。魅力的な登場人物、血沸き肉踊るストーリー。しかも、作者自身が、本を読み終えてお話が終わってしまうのが残念で、それなら、終わらない、長い長い物語を書いてやろう・・・と考えたという、百巻まで続く物語!まさに夢のような。 栗本さんが乳がんを患ったころ、グインが未完で終わってしまうのではと不安で、どうかグインを書き終わるまでは栗本さんが元気でいてくれますようにと勝手なことを祈っいた。 さすがに近頃は読んでいなかったのだが、まさか本当に、グインが未完で終わってしまうとは。終わらない物語を夢見ていたとはいえ、あまりに悲しすぎる。大好きなナリス様のもとへ行かれたのですね。栗本さんのご冥福をお祈りします。この壮大な大河ドラマが未完で終わってしまうのが悲しい。 この1巻を読んでから20余年も経過してしまった。 完結させて欲しかった。 最後まで読んでみたかった。 ここ10数年のスローペース(巻数が伸びてもストーリーが進まない)が非常に恨めしい。 今はただ著... | ||
〓東(ぼくとう)綺譚 (岩波文庫)永井荷風 ¥ 483 在庫あり。 ★★★★★ |
〓東(ぼくとう)綺譚 (岩... | |
| 永井荷風と言えば、どうしたってこの作品が頭に挙がる。 「わたくしはほとんど活動写真を見に行ったことがない。」 この最初の一節に私は心をひかれた。 小説というものは未だ言葉の結ばれてあるものと信じていた少年時代、私にはこの一節こそが必要であったのだと思う。 現代的なものを忌むための一節。 活動写真というハイカラな文化は、荷風散人にとって、呪の対象でしかない。 厭世的な荷風の一節は、美しい女性・お雪との出会いと別れをともに可能にする。 決して、出会いだけではなく、別れだけではない。 それら二つをあわせもつ効果が、この一節には表れている。 私も現代的なものが嫌で、早く昔に帰りたいと思っていた。 その頃に出会った本作。 小説を読み始めた私には理解できない文体も少なくなかったが、当時もっとも記憶に残った一冊となった。荷風が投影された「わたくし」こと大江匡は、小説『失踪』の主人公種田純平の行動と心理の取材と、隣の部屋のラディオがうるさいという理由の為、向島は玉の井の私娼窟で出会ったお雪という女性と出会い、足繁く数カ月通うことになる……。 この作品は、荷風の幾分厭世感にも近い、古き良き時代へ... | ||
明暗 (まんがで読破)夏目漱石 バラエティアートワークス ¥ 580 在庫あり。 ★★★★ |
明暗 (まんがで読破) | |
| 学生時代たしか新潮文庫で数十ページで挫折した夏目漱石の『明暗』。 『それから』、『草枕』、『坊ちゃん』が結構楽しめたので、未完の遺作も期待して読み始めたのだが、その身辺雑事的な身内や病気の記述の連続に一気に読書意欲が失せてしまった。 それがこの度の「まんがで読書」版。私にピッタリではないか! 約1時間で通読。感想。まず暗くウジウジとした物語展開は読んでいて気が滅入るし、絵柄もストーリーにあわせた陰気なモノ。まず未完の結末がマルっきり尻切れトンボで、なぜこの作品をワザワザ漫画化する必要あるのか大いに疑問を感じた。漱石の作品なら他に幾らでも漫画化候補作はあろうに! あと絵柄的には主人公の妻(=お延)と妹(=お秀)が顔付き・髪型・服装とも殆ど同じで区別がつきにくかった点、大失敗であろう。 やっぱまず『坊ちゃん』や『それから』あたりを漫画化すべきだったのでは?ストーリーは、途中までは退屈であったものの、清子の話が浮上してから面白みが出てくる。 しかしながら、何故にラストの丁度いい所に差し掛かった時に「未完」という形で終わってしまったのか。私は、漱石自身の健康状態のせいではな... | ||