こころ (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 380 在庫あり。 ★★★★★ |
こころ (新潮文庫) | |
| この本を初めて読んだのは多分数年前である16歳頃だったと思う。少し古めかしい言葉で読みにくさを感じたが、それを気にしなくなるぐらいに内容に引き込まれた。本に引き込まれるというのはこういうことをいうのだと思った。 とても言葉では説明できないが、この本には人間の虚しさ、悲しさ、孤独、罪、懺悔、若々しさ、苦しみを抱えながらも1日1日を生きる、賢くも悲しい人間、それらが詰まっているように思う。 人の虚しさをひしひしと感じる本だ。 今新たな気持ちでこの本を読むと、昔と同じような、人の虚しさに直面した気持ちを抱くとはまた別に、「先生」の苦しみ、書生の青い若さ、 それらが心の中にスーッと入ってきて、フラットな、だがどこか深い奥底で、自分がまた人生を、そして人間を、深く考える材料(?)になるような気持ちになる。決して何か答えをくれるわけではないが、非常に心がいろんな意味で豊かになる本だと思う。 こんな気持ちになる本は、最初に読んだときから今までにも、この本しかない。 私の人生で大事にしていきたい本のひとつだ。 私が初めて読んだ夏目漱石の作品は、「坊っちゃん」、次が「吾輩は猫である」で、「こころ」は3... | ||
私の個人主義 (講談社学術文庫)夏目漱石 ¥ 693 在庫あり。 ★★★★★ |
私の個人主義 (講談社学術... | |
| 小説家としての漱石以上に、思想家としの漱石に魅力を感じている。 この『私の個人主義』から、漱石の考え方を直接、学ぶことができる貴重な1冊である。 2001年8月10日、NHKラジオ第1で放送された「21世紀に読む漱石」のゲスト・寺島実郎のイギリスから20世紀を持ち帰った男・漱石の話と、「私の個人主義」(1914年)の講演を声優・銀河万丈の声で聴いて内容にも魅了されました。 「道楽と職業」から、大好きな分野を個人的に学ぶ楽しさと、他人へのサービスとしての職業を考えることは、現代社会でも通じる内容です。 漱石の『私の個人主義』は、エーリッヒ・フロムの『自由からの逃走』(1941年)、オルテガの『大衆の反逆』(1929年)に匹敵するほどの内容の講演と思います。 時代を先取りした思想家・夏目漱石の言葉が、時代を超えて受け継がれることを祈ります。夏目漱石の講演録。小説はほぼ読んだはずだが抜け落ちていた。 感想は「見事」の一言、『草枕』の冒頭「智に働けば・・・情に棹させば・・・」を彷彿とさせる、神経質ながらも禅的、洒脱な話に聴き入ってしまった。「道楽と職業」にしても、学習院で行われた「... | ||
坊っちゃん (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 300 在庫あり。 ★★★★★ |
坊っちゃん (新潮文庫) | |
| 言わずと知れた夏目漱石の代表作のひとつであり、中高生にとっては必ず読む本といってもいいかも知れません。小説の入門書という感じですし、夏目漱石こそ小説家の代表でありますので、やはり、その作家の代表作であるため、日本人であれば、必ず読むでしょう。松山と言えば今は、坂の上の雲で話題となった、秋山兄弟や正岡子規が少しブームですが、決定的に有名にしたのは坊ちゃんであり、夏目漱石でしょう。最近では、「鹿男あをによし」も坊ちゃんの話をモチーフに作られています。先生と悪戯な生徒。武田鉄矢の金八先生、中村雅俊のゆうひが丘の総理大臣等のこの本の影響が残っているのでしょう。ドラマで学園ものが流行るのもこの小説の影響だとおもいます。子供の頃には、当時の時代背景等もわからないままに単に面白い学園ものの小説のように思いましたが、今は時代ものもあり、松山の当時の様子も生き生きと描いております。道後温泉はいろいろな影響を与え、市電もバンバン走っています。ひっそりとしたターナー島(おそらくそうでしょう)もあり、気がつけば、東京ラブストーリーのロケとなった駅も発見してしまいました。いろいろな逸話を想像させることがあり、... | ||
こころ (集英社文庫)夏目漱石 ¥ 320 在庫あり。 ★★★★ |
こころ (集英社文庫) | |
| 心に負った大きな傷が、 今もわたしを苦しめます。 弱いわたしは、一生この傷を 癒すことはないでしょう。 他人に助けを求めるには、 私の中の自分というものが大きすぎたのです。先生は、連れ添う人とどうして自分の人生の深刻かつ大事なことを共有できないの? お嬢さんに無垢でいて欲しいからですか? Kを結果的に死なせてまで一緒になった人は、ただの無垢な女の人でしかなかったの? どれだけ長く一緒に居ても、心を開けないの?妻の無垢さは何にも替え難いの? その癖、出会って日の浅い青年にはすべてを打ち明けてしまうの? 青年が真面目である、というだけで? 先生の偏向した倫理観と意固地さは超弩級です。 純愛よりも、小賢しい知識を用いてあれこれ煩悶するのがお好きなようです。 お嬢さんに対して死ぬまで心を閉ざし続けることこそ最悪のエゴイズムなのに、先生はそれに気づきません。 エリートって相当病んだ人種なんですね。 平成の人間の目には、先生のトンチンカンな倫理感が奇異に映ることでしょう。 明治時代の人の考え方を知るための資料として読みましょう。人間嫌いな先生は自分も嫌いだった。 それは自分が嫌う... | ||
アースダイバー中沢新一 ¥ 1,890 在庫あり。 ★★★★ |
アースダイバー | |
| たまたま小川糸さんの「喋々喃々」を読んだ後にこの本を読みました。 小川さんの本は谷中が舞台なのですが、ところどころリンクするところがあって「えー」っ思いながら楽しく読めました。 それに、東京タワーや皇居・銀座や上野などこれを読むと東京は西にある高級住宅街は東京の歴史を語っていないのだなって思わずにはいられませんでした。 中沢新一という人がどんな人で何を研究している人か、個人的にはさして興味を持ってこなかったのだけど、こういう本を書いて、それがそれなりに受け入れられているというのは、著者にとってはおそらく悪いことではない。 (20年くらい前にこれを書いてたら、もっとボコボコにされるか、あるいは一顧だにされないかのどちらかであったと思う。) 批判する人がいてもいいし、そうした批判を受けるだけの理由がこの東京論には実際あちこちにある。どうも気に入らない、こんなもんに付き合ってられないという人は、こんな本、捨ててしまえばいいのである。 けれども、捨てる神あれば拾う神あり。 洪積層だの沖積層だの、あるいは資本主義だの神話だのとアカデミックっぽく理性的めかして書いてはいるけれど、... | ||
吾輩は猫である (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 660 在庫あり。 ★★★★★ |
吾輩は猫である (新潮文庫) | |
| 小学生の頃読んで、わからず、中学生の頃読んで、やはりわからず。ストーリーが理解できないのが理解できないことかと思いました。歳をとるにつれ、落語が好きになり、愚痴を言うようになり、妥協も知り、という段になって、ああ、そうゆうことかというがわかってきました。時代背景が結構重要なポイントなのでしょう。結構、夏目漱石は読んだので(キングオブ小説家と思っているため)この作品だけ、なんだかよくわからない感がありました。肩肘を張らずに楽しんで読めばよいのだな、ということであると思います。よく、作品のストーリーを簡単に紹介する本を読んでも 非常に説明しにくい小説なのでしょう。分厚いし、切れ目が切りにくいため、子供向けではないかもしれません。べいらんべー、口調で声を出しながら朗読すれば、結構楽しめます。それでも漱石の代表作ですので…。私の文章は、初期の漱石の影響を受けている。漱石の文体は、ベランメエ口調で調子がよい。本書は、『坊っちゃん』と並んで歯切れのよい口語文を書くための最高の文章読本だろう。他の人も書評で述べているが、「図々しいぜ、オイ!」がDo you see the boy?になっているのも... | ||
三四郎 (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 340 在庫あり。 ★★★★★ |
三四郎 (新潮文庫) | |
| あの時代に、こんなにも素晴らしい作品を書いていたんですね。 人間はやっぱりあまり変わらないものかもしれません。 広田先生のような人もいますしね。 何となく、村上春樹さんのようなにおいがするのは気のせいでしょうか。細かい評論は僕はできませんし 他の方が沢山述べていらっしゃいますので端折りますが 僕は 冒頭の東京へ向かう列車の中の情景や 途中の名古屋で面識の無い女性と同室することになり、 色々な意味で困りに困った三四郎が タオルで布団の間に境界線を作ったのはいいんだけど 翌日その女性に「よっぽど度胸が無いんですね」と言われ 凹むというエピソードが大好きです(笑 登場人物もどれも個性的で愛らしくもあり そのままマンガにでもできそうな秀逸な展開となっています 「猫」に並び肩の力を抜いて読める夏目漱石の娯楽作ですこれは田舎から出てきた三四郎が、東大で薫陶を受け、そこに出入りしていた女・美禰子に淡い恋心を抱きながら、振り回される話です。 美禰子は奔放な生き方で男をかき回す、クラッシャーですね。こういった話は、いまでもそこら中に転がっているでしょう。田舎から上京した男が都会でどう感じるか・・・... | ||
それから (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 420 在庫あり。 ★★★★★ |
それから (新潮文庫) | |
| 偶然にも,敬愛する先生も, 最近はベッドに入り,夏目漱石を読みがら, 眠りにつかれるそうだ。 先生は,森鴎外を読まれているのだろうと 思っていたので,最近これを知り驚き, 嬉しくなった。 それにしても代助の思索,思考,行動には何故か 引き込まれるものがある。小説『それから』の主人公・長井代助の生き方と環境に、多くの人が憧れたのではないでしょうか。 代助の父親が経済的に豊かなため、彼は積極的に働くこともなく、読書生活を日課とする青年知識人、それが高等遊民の誕生である。 イギリスに留学した漱石のことを、「20世紀を持ち帰った漱石」という言葉がある。 1914年(大正三年)の学習院での講演「私の個人主義」で、それを感じることができます。 漱石の三部作『三四郎』『それから』『門』は、20代、30代、40代になって、私たちの心を揺り動かし共感します。 その中で、『それから』の世界に夢中だった30代は、高等遊民の世界の大切さを感じさせてくれました。 明治期の評論家・内田魯庵(1868〜1929)の「文明国には必ず智識ある高等遊民あり」の言葉が印象的でした。 夏目漱石(1867〜1916... | ||
門 (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 380 在庫あり。 ★★★★ |
門 (新潮文庫) | |
| 「十四」以下が圧巻。 辻邦夫の末尾解説もよかった。 三部作で最も好きな作品となった。夏目漱石の中で最も好きな作品。 主人公の妻が風邪で寝込む場面が兎に角良い。 美しいとさえ思える。 それから、御米について裏表紙のあらすじに安井の「妻」とあるが、 実際は安井の『妹』である。ちょっとした落ち着きを感じる、夫宗助と、その妻御米(およね)、夫婦はひっそりと暮らしていていたのですが、宗助の弟小六(ころく)の学費の事で問題が発生し、交渉を行わなければならなくなったのですが...というのが始まりです。穏やかそうにみえた暮らしを営む夫婦の今はどのようにして成り立ったのか?またある救いを求めさまよう宗助の心の置き所は見つかったのか?という作品です。 内容に言及しています! どんな時代であったとしても、不変的テーマの一つだと思いますし、安易な解決策が示されるわけでもなく、それでいて破滅的な局面があるわけでもなく、それでも読ませる作品でした。「こころ」も好きですが、今現在「門」を読み終わった後としては私は「門」が作品として、私の好みとして好きです。 宗助の性格の変化、諦観に至った状態、... | ||
中原中也詩集 (新潮文庫)中原中也 吉田ヒロオ ¥ 500 在庫あり。 ★★★★★ |
中原中也詩集 (新潮文庫) | |
| 山口県にある湯田温泉に行ってきました。東京から電車で行くとちょっと時間がかかります。 だけと、静かで良い所でした。カワハギが美味しかったです。 行ってから知ったのですが、ここが中原中也の故郷だったのですね。 中原中也の記念館もありました。 この町を散歩して、温泉にでも入り、中也の詩を読んだりして、なかなか優雅でした。 子供心を失わない素直な人だ。 毎日ふっと思いつくのに生活のためにふりはらってしまうような事をちゃんと思い返して詩にしてる。 私は、もうそんなこと考えたってしょうがないと諦めてたのに。でもそうゆう生活って自分がよくわかんなくて余計に辛かった。 これを読んでやっぱり私もまた子供の頃みたいに生きようてゆうか気持ちだけでもそうしようと思えた。 この人は金持ちの子。だからこんなに詩を書けたのか。でもかんけいなく感動する。 やっぱ世の中に必要な人だ。中原中也の詩に出会ったのは高校一年の時でした。当初から独特のリズム感、詩が持つ世界の空気感に惹きつけられていました。高校二年の時、教科書に載っていながら授業で取り扱わなかったのをきっかけに購入、有名な詩以外にも魅力的な詩ばかりで買ってよ... | ||
腰痛放浪記 椅子がこわい (新潮文庫)夏樹静子 ¥ 420 在庫あり。 ★★★★★ |
腰痛放浪記 椅子がこわい ... | |
| この著者のミステリーは1冊も読んだことはないが、この本は実に面白かった。 私のような2,3日休めば回復する程度の痛みではなく、自殺さえ考えるほどの激烈な痛み。 それを治療するために、大学病院から鍼灸、カイロ、マッサージ、果ては霊媒師までありとあらゆる治療を試みるが直らない。 はたしてその結末やいかに。 実に意外な方法で完治するのだ。 実在の病院名や治療者の名前が書いてあり、治療しても直らなかったというのだから訴えられないだろうかと思う。 有名な小説家、夏樹静子さんが、腰痛の苦しみとそれが治癒するまでの遍歴を、ご本人の日記形式でリアルタイムで描写されています。 最終的には、痛みの原因は以外にも「心理的要因」である事がわかり、ある心理療法家の治療により治っていくのですが、そのスリリングな筆致は苦しまれた当人だからこその迫力がありました。 「治癒した今でも心理的要因だったとは納得できないほどの痛みだった」という症状には、読者もまさに「こわい」と思わされるようなものでした。 抑圧された感情が、身体にブロックをつくる、という概念は、現在アメリカの心身医学界で大きな潮流として認められて... | ||
中原中也詩集 (岩波文庫)中原中也 ¥ 903 在庫あり。 ★★★★★ |
中原中也詩集 (岩波文庫) | |
| 才能あるものは夭折する運命なのですね。 退廃的な美しさがある。 安っぽい恋愛小説を高いお金を出して読むより、 こちらのほうが余程、ロマンがあります。 通常詩というものは、一つ一つのセンテンスの中に豊富な形容詞や言い回しが、数珠つながりと化していて、そのテクニカルな連結方法や纏め方に、言葉自体以上の深みと魅力を感じるのだが、中原中也の詩集は、一つ一つの文その物にはこういった知恵の輪はほとんど無く、しかし1つの詩を読み終えると、その詩が世界観として映画のワンシーンのように視界に浮かび上がるような、そんな魅力がある。 だからまるで風景画。しかしゴッホのように荒々しい色使いではない。もしこれを詩としてではなく、何気なく友人知人の言葉として、もしくは街の広告の一部として耳にしていたら、その魅力に気づけていたかどうか?というほどの薄味で、静かに、寂しく、ぼんやりと、淡々と、喜怒哀楽しているのである。 ので、詩自体は子供でも十分に解せる会話文クラスの易しさで構成されているにも関わらず、精神的に落ち着いていなければ、これは中年・老年者にも理解不能な魅力であろう。詩人だなぁ、... | ||
汚れつちまつた悲しみに…―中原中也詩集 (集英社文庫)中原中也 ¥ 380 在庫あり。 ★★★★★ |
汚れつちまつた悲しみに…―... | |
| 過去に何度か読んではいますが改めて。。。 やはり 「汚れつちまつた悲しみに……」は秀逸です。 表紙イラストは 「テガミバチ」の浅田弘幸集英社文庫の表紙リニューアルシリーズ。 絶妙な表紙です。読む気にさせますね。 ゆあーん ゆよーん ゆやゆよーん オモシロい。なんだそれ。 彼の感性が面白いです。鋭すぎる感性で自らの心を日常と風景に移し言葉を掴み取る。ひたすら自分であろうとし、自分を言葉で描く天才。鋭く、淡く、儚く激しく、それでいてどこか突き放して淡々とした感じ。本当に詩を書く為に生まれて生きた人だと思います。 30歳で夭折した詩人「中原中也」としてではなく、一詩人である「中原中也」の作品集 として読んでほしいと思います。 ついつい作者のプロフィールを気にして作品を読みがちですが、その辺のことはあえて 無視して、純粋に作品だけを読むと、その詩のよさがわかると思います。 私は「冬の長門峡」が好きです。 繊細、儚さ、大人になるにつれて忘れていく感情。 若くして生涯を終えた、中原中也の言葉は、今の時代でも色褪せません。 1つ1つの詩をゆっくり味わって読めば読むほど 深く... | ||
枯木灘 (河出文庫 102A)中上健次 ¥ 599 在庫あり。 ★★★★★ |
枯木灘 (河出文庫 102... | |
| 衝撃的な内容。近親相姦、白痴との姦通、、なんでもあり。 中上健次に本来ふれてほしい人にこの本は届かないというもどかしさ。 日本文学だとか文壇だとか狭いインテリだけが共有してよい財産ではない。 読者は内容をきちんと理解して読み進めたか? クドいほど同じ内容を繰り返してくれなければ 他の作品と同じように読み進めることはできない。 悩みはズルズル何度も何度もどうしようもなく繰り返す。 関西弁の会話文は理解できるか? 最下層の市井の人々はまことに自分勝手にしゃべって それで会話が成り立ってるようにしているだけ。 適当に読み進めてかまわない。雰囲気だけ感じられたらよい。 中上健次の小説を読むのはこれが最初ですが、現在までに3回ぐらい読み直して、今後恐らく再び読み直したいと思う小説の一つであります。 彼の生前を全く知らなかった私は中上氏の没後10年以上も経ってから彼の事を知りました。 インターネット上で検索して拝見することが出来る彼のエピソードや、彼と交流のあった村上龍氏や柄谷行人氏などの 作家や批評家などの対談や回顧録を通じてどんな方だったのかを追っている最中です。 今年の五月には... | ||
こころ (まんがで読破)夏目漱石 バラエティアートワークス ¥ 580 在庫あり。 ★★★ |
こころ (まんがで読破) | |
| 原作を通読していることを前提として、おおまかなストーリーを忘れた時に参照するというのがベストな読み方だと思います。 このサイズの漫画にするという制約があるのは重々承知です。 ただ、それにしても、エピソードの取捨選択の方法にやや問題があります。 一番気になるのは、〈下53〉におけるKの自殺に関する先生の分析がすっかり抜け落ちていることです。 それから、「私」が先生から生きた思想をぶつけられた後に「書いている」という設定が見えなくなっている点も。 とっつきやすさはアドバンテージです。 それだけに、これを読んだことで「読破」とはしない方がよいかと……。私が高校生だった夏休み「この作品を読んで感想文を書く」という宿題が出ました。 悪戦苦闘の末読み終えた時、私の心にまず浮かんだ感想は 「何なの?この尻切れトンボのような小説・・・ 先生の遺書で終わってしまって「私」は一体その後どうなったの?」 という平凡な思いでした。 しかし、その割にはなぜかずっと自分の心にひっかかるものがあり、 機会があったら再読したいとずっと思っていました。 そんな時にこの漫画に出会いすぐさま買って帰りました。 漫画だっ... | ||
吾輩は猫である (岩波文庫)夏目漱石 ¥ 588 在庫あり。 ★★★★★ |
吾輩は猫である (岩波文庫) | |
| 我輩は犬である。 名前はポチだ。 この本に登場する猫は、我輩の友達なのだがまだ名前が無いらしい。 名前さえ付けてもらえないショボい猫なのだが、こいつがなかなかの男なのである。 こいつは、妻と3人の娘を持つちょっと鬱病気味の英語教師に飼われてやがるのだが、猫の分際で人間以上に人間の本心を読み取るのである。 おまけにどこで読んだか知らないが、小難しい文学なぞにも通じていて哲学的思想に浸り、俗世間で右往左往する人間どもを彼方の天空から見下ろす神のごとく、冷静に主人やその他の人間を見つめ続けるのである。 こいつ以外にも猫は登場する。 こいつを「先生」と呼ぶ三毛子という雌猫や、下品で無教養で粗暴極まりない「車屋の黒」というでかい黒猫である。こいつもさすがに黒のことは恐くてしょうがないらしい。 猫の視点から、人間の生き様を風刺的に描いた大変ユニークで質の高い傑作と言えよう。 ちなみに我輩は登場しない。 ポチなんて犬は、多分登場しなかったと思う・・・。 まあ、気になったら最後まで読んでみてくれたまえ。 では失敬。 司馬さんが坂の上の雲を書く上で、主人公を”明るさという点で子規を選んだ”... | ||
明暗 (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 740 在庫あり。 ★★★★★ |
明暗 (新潮文庫) | |
| 「門」の次に,ほぼ30年ぶりに「明暗」を読み始めた。 やはり,漱石の世界に引き込まれる。いうまでもなく漱石最期の未完の小説である。大正5年に朝日新聞に掲載されて漱石の死とともに終わった。そして我が敬愛する評論家、江藤淳の「漱石とその時代」も「明暗」を取り上げる前に自裁して未完に終わった。 漱石の著作をすべて読んでから「明暗」を最後に読もうと決心していたが、水村美苗氏の「続明暗」を知り、それを読むために禁を犯して漱石の「明暗」を読むことにした。 「明暗」は未完であるにも関わらず、かなり長く、登場人物も多く人間関係も複雑である。そして人物の登場の仕方も実に自然で巧みに演出されている。例えば、重要な人物である清子はかり後になってさり気なく登場する。複雑な人間関係を理解するためには家系図のような図式化も必要となるほどである。小説技術としては将に円熟の境地なのではないか。 物語は津田とその妻、お延そして遅れて登場する清子を中心に進む。津田は他の漱石の小説に登場する高等遊民的な人物であるが、お延、清子そしてお秀、吉川夫人等々、極めて個性的な女性像として描かれる。この辺り、漱石の小説もそれまで... | ||
文鳥・夢十夜 (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 420 在庫あり。 ★★★★ |
文鳥・夢十夜 (新潮文庫) | |
| 表題作の文鳥を読んだとき、独特で新鮮な感じがしました。 読み終えた後、何とも言いようのない悲しさみたいなものが残りつつ、 次の作品に移りました。 ただ、私にはちょっと合わなくて、作品の半分まで読んだのですが、挫折してしまいました。 1作品、1、2ページで終わるものが多くて、しかもとりとめのない話のように感じてしまい、 読欲がうまれてこなかったです。 あと半分は、また気が向いたら読もうと思っています。 「小品」と云われるジャンルが合わないのか、他の長編を読んで決めるまでの 気持ちにはまだちょっと時間がかかりそう。 こころ、とか読んでみたいなと思っていたのですが、 いずれ、リベンジしてみたいと思います。 (2009.4読) かつて生き物を飼い殺しにした経験のある私は、 「文鳥」を読んでみて、昔の古傷を抉られたような心持ちになりました。 飼っている内にだんだん世話をするのに飽きてくる下りには共感しました。 でも漱石先生は世話に飽きてしまってからも、やけに事細かに鳥籠を観察していますよね? そんなに事細かに観察するくらいならちゃんと世話すればいいのに、と思ってしまったり。 飽きたら観... | ||
斎藤孝の音読破〈1〉坊っちゃん (齋藤孝の音読破 1)夏目漱石 ¥ 840 在庫あり。 ★★★★★ |
斎藤孝の音読破〈1〉坊っち... | |
| 「坊っちゃん」という短めな小説の割に厚い本だな、と書店で手に取って見たところ、 文字の大きさやふりがななど、小・中学生時代の教科書を思い出させる体裁に思わず懐かしくなり買ってしまった。 学生時代を思い出し、声に出して読んでみると、止まらなくなる。 正直漢字だけでは読めない言葉も、細かく振られているフリガナのおかげで詰まることなく、 すらすらと読んでいける。まさに音読だ。 読むことだけに夢中になって、内容を大して理解せずに読んだりしてしまったり、 フリガナに気がいって言葉に詰まったりもしつつ、なんとか読破すると、清々しい気分になった。 目と耳と口をフル活用しているので、ふと気がつくとすごく集中している自分自身に驚く。 ボキャブラリーも心なしか増えた気がするし(?)、ぜひ同シリーズの他作品も読んでみたい。 よく子どもの好きな本を読ませることがベストだという。しかし本になじみがなくどの本が好きなのか分からない子も多数いる。 手始めに何を読んだらよいのか分からないという方にお薦めしているのがこちらの「音読破シリーズ」です。夏目漱石、宮沢賢治といった文豪の著作の中で小学生でも分かりや... | ||
草枕 (新潮文庫)夏目漱石 ¥ 420 在庫あり。 ★★★★★ |
草枕 (新潮文庫) | |
| 漱石先生の語彙の豊かさ、見識の広さ痛いほど伝わってくるが、話としては恐ろしくタイクツである。 絵師を自称する三十路のオッサンがゆったりまったり動きながら思索に耽るだけの話である。 登場人物の会話以外の箇所の大部分は、詩的叙景文に随想を加えたような文章である。 物語のスパイスとして那美さんがいるものの、全体的なタイクツさを揺るがしてくれるほどの存在ではない。 この作品の存在意義については、あとがきを読めば十二分に腑に落ちるのであるが、 私にはどうしても、ほとんど動かない物体に対する骨董趣味的な視線が薄気味悪く思えてならなかった。 この作品を心から良いと思えるようになったら、その読み手が骨董趣味を解する齢になった、ということなのだろう。 十代、二十代で良さが分かってしまった読者は、早くから人生に疲労していることになるのであろう。 それくらいタイクツで脱俗的で骨董趣味的な小説だと感じた。小学生の頃に読んで,ちっともわからなかったが,ようやく少し理解できる年齢になったのかも。しかしこの小説が100年以上にもわたって読み続けられる理由は正直まだわからない。 日本の風景の美しさが文体の美し... | ||